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梅の湯物語
第9章 梅の湯のお梅さんになったわけ
あの日漆黒の夜に東京の空だけが赤々と燃えていた。
お梅は真昼のように明るくなった荒川の向こうを川口の祖母の家から見ていた。
真夜中に空襲警報がなる。
「東京に空襲だよ」
と母に起こされ庭に出た。
庭に掘った防空壕に入る前
ほんの目と鼻の先、荒川を隔てた東京は真っ赤に燃え上がっている。強い風が炎を煽り町を焼き尽くす煙は渦を巻いて空を覆っていた。
恐怖ですくむ足。
母に手を引っ張られ祖母と防空壕へ入った。
ずいぶんと長い空襲だ。
あの炎の下、自分が暮らしていた家は町はどうなっているのだろうかと
お梅は締め付けられる胸に手を当てて暗い防空壕のなか母と祖母と手を繋いで生きた心地のしない時間を過ごした。
空襲警報が消えしばらくたってから外へ出る。
東京の赤い空は消えることなく燃え続けていた。
お梅は真昼のように明るくなった荒川の向こうを川口の祖母の家から見ていた。
真夜中に空襲警報がなる。
「東京に空襲だよ」
と母に起こされ庭に出た。
庭に掘った防空壕に入る前
ほんの目と鼻の先、荒川を隔てた東京は真っ赤に燃え上がっている。強い風が炎を煽り町を焼き尽くす煙は渦を巻いて空を覆っていた。
恐怖ですくむ足。
母に手を引っ張られ祖母と防空壕へ入った。
ずいぶんと長い空襲だ。
あの炎の下、自分が暮らしていた家は町はどうなっているのだろうかと
お梅は締め付けられる胸に手を当てて暗い防空壕のなか母と祖母と手を繋いで生きた心地のしない時間を過ごした。
空襲警報が消えしばらくたってから外へ出る。
東京の赤い空は消えることなく燃え続けていた。