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甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第11章 譲れない思い
静けさの戻った店内で、一緒に呑んでいた友人が、俺に話し掛けてきた。
「しおりって、お前が振られたって言ってた子の事か?マスターの彼女なのか?」
「…どうなんだろうな。俺は何も知らない。」
「名前が同じだけで他人だろう。」
あからさまに、険しい表情をした俺に、友人はそう言うと、気を使うように、酒をすすめた。
グラスの中の氷を俺はただ、じっと見つめていた。
この氷のように、俺のこの気持ちもいつか、溶けていくのだろうか…?