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甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第11章 譲れない思い
「いい加減にしていただけませんか?」
「紫艶、しおりって女はどこにいるのよ!」
「ここには、いません。お引き取りください。」
そう言って、マスターが暴れる女の腕をギュッと掴んだ。
「紫艶!痛いから!離して!」
「お静かに!こちらへいらしてください!お話はそれからです!」
言葉は丁寧だが、冷たさを感じる口調。
そして、その口調と同じように冷たい眼差しから、少し柔らかい瞳に戻ったマスターは、俺達お客にすみません!と頭を下げて、女を引っ張りながら、店の外へと出て行ってしまった。