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甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第14章 紫艶の正体

いつの間に寝てしまったのか。

俺はグラスを握ったままテーブルで寝ていたようだ。


「よっぽど疲れていたんですね。」


カウンター越しにマスターが、ふふっと笑った。

そんなに疲れていたかな?

今まで酒呑んでも、こんなことは、なかったのに。

なんとなく違和感はあるが、何も思い出せない。

多分、マスターが言うように呑んで寝てしまったみたいだけど。


「すみません。俺寝ちゃって…。」

「大丈夫ですよ。きっと疲れているんですよ。今日は他にお客様もいないし、私もそろそろ店を閉めます。」

「はい。すみません。俺も帰ります!」


財布から、お札をとろうとした指を見て、俺はハッとした。


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