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甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第6章 昼と夜
眞多さんが紫艶?
頭の中の整理が出来ずに、私は瞳の前のカクテルを見つめる。
紅いカクテルは、あの日の彼と同じ綺麗な紅い色。
そっとグラスに手を添えて、一口コクッとカクテルを飲むと、甘い果実の味が口いっぱいに広がっていく。
美味しい…。
チラッと眞多さんを見れば、女性客と楽しそうに話している。
でも、その髪はグレー色ではなく、その瞳も紅くはなく、私が知る紫艶とは違う。
突然の出来事に私は何が何だかわからなくなっていた。
静かな店内では、ゆっくりと時間が過ぎていく。
眞多さんが作ってくれたカクテルは、美味しいけどアルコールは強いみたいで、私は何だか眠くなってきてしまった。
ウトウトしていたのだろうか。
気付くと店の中にいたお客さんは、いなくなっていた。
さっき眞多さんを、紫艶と呼んだ女性以外は…。