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行こうぜ、相棒
第10章 This is the time



「で、どんなひとなの?」
と、リエは聞いた。
「どんなって?」
エリは答えた。
「やさしいとか、格好いいとか、お金があるとか、そういうのじゃないエ子の印象を聞きたいの」
「印象……」
「マダムから全部聞いてるのよ。エ子だって、マダムから私に筒抜けるのを承知で、ハバナで会ったんでしょ?」
ハバナ、とはマダムのいるあのレストランの名前だ。正式名称を「レッドフォードズ・ハバナ」という。最初のオウナーが昔見た映画にあこがれてつけた名前だという。

窓の外は晴れていた。梅雨の晴れ間。夏を思わせる強い日差しが小さな漁港に注いでいるのが見える。
双子の姉妹は、姉であるエリの古い日本家屋で、一緒に昼食をとっていた。
今日は姉妹で一緒に支度をした。といってもごく簡単なものだ。きぬさやの胡麻あえ。梅干しとシラスの冷や奴。ベトナム風にナンプラーをかけた焼きビーフンをメインとした。煮立てた香りの高い麦茶を冷やしてグラスに注いだ。今日はリエがクルマだったので、アルコールをやめておいた。
呼吸の合った双子の作業に、この古い家の大きな台所はよく機能した。
テーブルに料理を並べ、ふたりはきちんと手を合わせて「いただきます」をしてから食べ始めた。

「柏木さんのことね」
軽い口調で、エリは答えた。
「柏木、というのね。ずいぶん大柄な人なんだって?」
「180以上あるかな」
「うわ」と、リエは顔をしかめた。「大男じゃないの。熊みたいな野生的なタイプ?」
「どうだろ」と、エリは冷や奴を口に含みながら思案した。「最初の時はずいぶん野性的だったと思ったけど、二度目に会ったときは別人みたいに紳士だったわ」
「入れ替わりの激しいキャラみたいね。三度目の時はきっと童貞みたいになるわよ」
リエの含み笑いをエリは涼しい笑顔でやり過ごした。
それは、当たらずとも遠からずだったからだ。



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