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行こうぜ、相棒
第11章 It’s a Mistake
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「その日の晩、『会社』の突撃部隊が俺を救助した。そして俺はこうして生きて、あの地獄の泥沼から帰ってきた」
エリは何も言えなかった。
「その日から、誰かを抱けるようになるまで、4年かかったよ」そして、苦笑しながら、続けた。「でもいまでも、明るい部屋で、誰かの目を見ながらすると、気持ちが折れる。勃起も、途切れる。胸の底にまだ、戦争が残っているんだ」
ベッドの中の柏木の声は、あまりに淡々としていた。
「そして来週、また俺は戦場へ戻る」
「ソウルは、戦場なの?」
「日本はあの年と同じだ。『気楽な一年』と。すぐそこにあり、目を凝らせば見えるものをいつも、見ないようにしている。そうだよ、ソウルはもう、戦時下だ」