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行こうぜ、相棒
第7章 No One Is To Blame
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エリは静かにクロールを続けている。
プールサイドには自分と同年代の女性の職員が彼女の泳ぎを見守っている。
エリの泳ぎは決して速くはない。いまはスピードを求める泳法はしていないから。
でも無駄をかぎりなく削ぎ落とし、フォームの乱れを徹底して減らしてゆく。そうしてできたのは、いつまでもペースが変わらない極めて安定した泳法だ。
最初の数ターンを終えると心肺が安定し、いつまでも泳ぎ続けられるような気分になる。脳内のエンドルフィンが分泌され、よくあるランナーズハイに似た状態になっている。そのハイ状態がやめられず、エリはこうして定期的に長く泳ぎ続ける。