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行こうぜ、相棒
第7章 No One Is To Blame



エリはしばらくの間、答えを返さなかった。
けれど双子の間にはその沈黙は、重苦しいものではなく、理解と同意を深めるためのポジティブな時間として流れた。

柱時計の秒針の音が、双子の胸の中に音もなく響く。
かちり、かちり、と時が刻まれてゆく。

いま付き合っている相手は、リエにとって初めて心から愛せる相手なのだった。デートをしたり、キスやセックスをしたりした今までの男性たちとは、その心の置き方が全く違った。それは相手も同じであることを、リエの代わりに彼と何度か過ごしたエリも気づいていた。
だからエリは、彼とセックスをしなかった。エリをリエだと信じている彼は、もちろん何度もエリを求めた。が、リエの気持ちを知っているエリは巧みにその誘いを断り、一線を引いていた。

コップのなかに注いでゆく水は、その最上部まで達し、表面張力でかろうじて、こぼれずとどまっている。
そのことをエリは理解していた。

ほんの数秒の逡巡(しゅんじゅん)の時間、エリはこれまでの来し方を反芻した。
互いの生活を生き、ひとりずつがふたつの世界を知った。螺旋に交わるふたつのリボンがやがてひとつの縄に見えるように。
でも私とリエは、これから違う時間を生きてゆくのだ、と分かった。もう、違いにひとりづつ、各々の人生を生きていける、と確信が持てたのだ。
エリはそう、理解した。
だから、こう答えた。

「――ーうん、そうだね」


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