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甘い時間は2人きりで
第8章 デート

水平線を見据えながら、春人は呟く。

「海見たら元気になるのは昔からそうやった。神戸港で夕陽に照らされた海を見てる時から『俺のやってることは間違ってないんか』って、いつも自問自答してた」

「…春人の選択は間違ってなかったよ。だって今はバンドマンとして活躍してるじゃない。私はまだ春人のこともバンドのこともよく知らない。でも春人が頑張ってるとこいつも見てるもん」
「茜さん…」
「大丈夫。だって春人の周りには支えてくれる人がいっぱい居るんだから」
「…ありがとう」

笑いかければ、柔らかく笑い返してくれた。
春人の横顔を見つめていたら、視界の端に向かいから歩いてくる2人組が見えた。

「あっ…」

若いカップルとすれ違って、思わず手を離してしまった。

「茜さん…」
「どうしたの?」

握った手に力が込もる。

「俺、茜さんと知り合えて良かった…」
「うん…」
「そろそろ帰ろっか…」
「うん」



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