この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘い時間は2人きりで
第8章 デート

水平線を見据えながら、春人は呟く。
「海見たら元気になるのは昔からそうやった。神戸港で夕陽に照らされた海を見てる時から『俺のやってることは間違ってないんか』って、いつも自問自答してた」
「…春人の選択は間違ってなかったよ。だって今はバンドマンとして活躍してるじゃない。私はまだ春人のこともバンドのこともよく知らない。でも春人が頑張ってるとこいつも見てるもん」
「茜さん…」
「大丈夫。だって春人の周りには支えてくれる人がいっぱい居るんだから」
「…ありがとう」
笑いかければ、柔らかく笑い返してくれた。
春人の横顔を見つめていたら、視界の端に向かいから歩いてくる2人組が見えた。
「あっ…」
若いカップルとすれ違って、思わず手を離してしまった。
「茜さん…」
「どうしたの?」
握った手に力が込もる。
「俺、茜さんと知り合えて良かった…」
「うん…」
「そろそろ帰ろっか…」
「うん」

