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甘い時間は2人きりで
第11章 同窓会
最後の一言で、お父さんの顔が曇った。
「…それは、私の責任ですね」
「えっ!?」
グラスのビールを一気に飲み干し、昔のことを話し出した。
茜の母親が死んだ時、私は多忙でしてね…私の両親に預かってもらってたんです。
茜は両親の家で、私はアパートに帰る。休みの日も疲れを理由にあの子と向き合えなかった。
忙しさがマシになって、茜が小学校に上がる前に横浜へ転勤になったんです。
あの時の私はバカで何も気が付かなかった…
茜が両親から受けた抑圧された生活のせいで、酷く周りを気にする子になってしまっていたことに…
親子2人で、今の家で生活するようになっても、茜は家事をしてくれて、文句やワガママの1つも言わなかった。
休みの日に「どこかに行きたい」と強請らない茜がいい子に思えた。
今思えば、それは私のことを気遣って、ワガママを言えなかったことに気付かずに…
私は今の家内と恋仲になり、結婚した。
あの子を安心させるつもりが、余計茜は私と家内に気を遣うようになった。