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甘い時間は2人きりで
第18章 社員旅行

「はぁ、ごめん、出してもた…ティッシュ…」
「けほっ…」
「洗面所に行って、また口ゆすいで」

精液をティッシュに吐き出すと、春人がゆっくり立ち上がった。
でも、私は立たなかった。

「茜さん…?」
「ごめ、なさ…私…」
「謝ることないよ。怒ってないし、むしろ悪いのは俺やから」
「でも、いきなりあんな事…」

堪えきれず、涙が零れ落ちた。
春人は屈んで、指で涙を拭ってくれた。

「…千代ちゃんと付き合うの?」
「千代ちゃん?ああ、さっきの子。なんでそうなんの!?」
「だって、『ありがとう』って」

あの笑顔と「ありがとう」という言葉を思い出し、胸が締め付けられる。

「その後の言葉聞いてないの?ちゃんと断ったよ『今は音楽が大事やから付き合えない』って。音楽も大事やけど、彼女居てるから無理やけどね」
「…本当に?」
「うん。ホンマのこと言った方が良かった?」
「ううん…」

目線を合わせると、頭をポンポンと撫でられた。




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