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甘い時間は2人きりで
第21章 冷たい視線
「春人のマンションの近くにパン屋さんあるでしょ?この前そこのメロンパン買ったんだけどね、凄いサクサクで美味しかったの」
『……』
就寝前の恒例となった、春人とのスカイプ。
「それと、春人またエッチなDVD買ったでしょ?掃除してる時に見つけちゃったよ。観るのは構わないけど、パッケージは人目につく場所に置いといちゃダメだよ!」
『……』
「ねぇ、聞いてる?」
『……茜さん』
「なに?」
『なんかあった?』
「……っ!」
その一言に心臓が脈打ち出す。
画面の向こうに居る春人に悟られないよう、平静を装う。
「…何でもないよ。どうして?」
『いや、普段に比べて饒舌やから…』
「別にいいじゃん。私だって話したいこといっぱいあるのに…」
『せやな。ごめん、いつも俺ばっかり喋って』
それ以上勘ぐられないよう、早々と会話を切り上げた。
「うん。ごめんね、明日早いからそろそろ寝るね」
『そうか、今日もありがと。長い時間付き合ってもらって。じゃあ、おやすみ』
「…おやすみ」
通信が途切れ、目の前の黒い画面には恐怖で顔が強張る私が映っていた。