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甘い時間は2人きりで
第30章 春人の異変

ステージに駆け上がり、スタンドマイクの前に立つと、歌い出さずに客席を眺めた。

「ライブやる前に少し報告があるんですけど、ちょっと時間もらって良いですか?」

春人の問い掛けに、客席からまばらな拍手が起こった。

「ありがとう。SNSとかで知ってる人も居てるやろうけど、昨日ライブ中に僕声が出なくなりました。
実は半年前から喉にポリープが出来て、これまでは薬で抑えてたんやけど、最近は声が出にくくなって…

早く手術すればええのに、僕は維持を張って手術を先送りにしたから、大事な先輩のライブで声が出ないという失態を犯しました。

それに喉の不調を皆が知って、何も言わん俺に対して不信感を持ってしまったんかなーって、お客さんに申し訳なくなって…
ライブ終わってから、部屋から出られへんかった。

だけど、こんな状態の俺でも皆待ってくれてて、心配してくれてた。
メンバーにスタッフに雷神の皆が『気にすんな』って。
皆の優しさに俺不覚にも泣いてもうた…」





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