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花菱落つ
第2章 真田源五郎
「男……」
源五郎は凪の小さな瓜実顔を穴の開くほど見つめた。艶やかで豊かな黒髪、長い睫毛に縁取られた切れ長で黒目がちの瞳。ふっくらと赤い蠱惑的な唇。どこからどう見ても、源五郎には美しい少女としか思えなかった。平らな胸も、十二という年齢によるもので、これから女らしい膨らみを作るに違いないと思っていた。
「はい。今まで黙っていたことをお許しください。まさか真田様が私などのことをそこまでお気にかけてくださるとは、思っておりませんでした」
だが、ほんのり頬を染め恥じらう凪が少年だと見破ることのできる者が、どこにいるだろう。
「本当に、男なのか」
「はい」
凪は道の脇、木の陰に寄ると源五郎の手を取り自分の胸に当てた。微かな膨らみすら感じられない、固い感触。そしてそのまま源五郎の手を下にずらした。緋袴越しに触れたのは、男ならば誰しもが持っている源五郎にも馴染みの物。ここまで確たる証拠を見せつけられては、さすがに納得せざるを得なかった。
源五郎は凪の小さな瓜実顔を穴の開くほど見つめた。艶やかで豊かな黒髪、長い睫毛に縁取られた切れ長で黒目がちの瞳。ふっくらと赤い蠱惑的な唇。どこからどう見ても、源五郎には美しい少女としか思えなかった。平らな胸も、十二という年齢によるもので、これから女らしい膨らみを作るに違いないと思っていた。
「はい。今まで黙っていたことをお許しください。まさか真田様が私などのことをそこまでお気にかけてくださるとは、思っておりませんでした」
だが、ほんのり頬を染め恥じらう凪が少年だと見破ることのできる者が、どこにいるだろう。
「本当に、男なのか」
「はい」
凪は道の脇、木の陰に寄ると源五郎の手を取り自分の胸に当てた。微かな膨らみすら感じられない、固い感触。そしてそのまま源五郎の手を下にずらした。緋袴越しに触れたのは、男ならば誰しもが持っている源五郎にも馴染みの物。ここまで確たる証拠を見せつけられては、さすがに納得せざるを得なかった。