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花菱落つ
第4章 義信
「今日も熱心だな、凪」
「はい。これが私の巫女としての勤めにございます」
「そうか」
義信は参拝のたび凪に声をかけ、次第に親しく話し込むようになっていた。義信の住まいである西曲輪は府中八幡から近いこともあり、頻繁に詣でているようだった。
「見ろ、空模様が少しばかり怪しい。早くせねば雨が降りだすぞ」
「はい、ありがとうございます」
「ではまたな」
「お気をつけて」
自らも急ぎ足で去って行く義信を見送ると、凪は箒を持つ手を忙しく動かし始めた。
だが義信と凪が親しくなるにつれ、それを快く思わない者も現れた。
いつものように境内を清めていた凪に居丈高な声をかけたのは、義信の正室だった。
「はい。これが私の巫女としての勤めにございます」
「そうか」
義信は参拝のたび凪に声をかけ、次第に親しく話し込むようになっていた。義信の住まいである西曲輪は府中八幡から近いこともあり、頻繁に詣でているようだった。
「見ろ、空模様が少しばかり怪しい。早くせねば雨が降りだすぞ」
「はい、ありがとうございます」
「ではまたな」
「お気をつけて」
自らも急ぎ足で去って行く義信を見送ると、凪は箒を持つ手を忙しく動かし始めた。
だが義信と凪が親しくなるにつれ、それを快く思わない者も現れた。
いつものように境内を清めていた凪に居丈高な声をかけたのは、義信の正室だった。