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花菱落つ
第6章 因果応報
「済まぬ……凪」
激情の去った義信は、己の所業を深く慚愧した。引きちぎられた巫女装束に、うつ伏せた身体を小刻みに震わせている凪。その切れ長の瞳からは涙が零れていた。
義信は着物を脱ぎ、凪の肩からかけた。いくら男とはいえ、凪はまだ十三。まだ少年の域を出ない。大人の義信に力づくで犯されることはとても恐ろしかったに違いない。
「怖い思いをさせたな。許せ。父上に頼んで望月千代女の元へ帰れ。ああ見えて父上は情にもろい。訳を話せば任を解いてくれよう」
自室に軟禁され、妻と会うことも叶わず、手近にいた凪を欲情の捌け口にしようとした。
「義信様がお怒りになったのは私が男であるせいです。私は身を偽り義信様を騙しておりました。ですがたとえ男であろうと、私は義信様を探るために遣わされた、千代女様の『ののう』なのです。たとえどのような目に遭おうと、覚悟はできておりました。それなのに取り乱してしまったのは、私の不徳のいたすところにございます」
「無理はしなくていい」
女はもちろんのこと、男だから犯していいというわけでもない。男とて力づくで犯されるのは非常に恐怖を感じるものだ。
凪は女そのものの仕草で涙を拭い、気丈に顔を上げた。
激情の去った義信は、己の所業を深く慚愧した。引きちぎられた巫女装束に、うつ伏せた身体を小刻みに震わせている凪。その切れ長の瞳からは涙が零れていた。
義信は着物を脱ぎ、凪の肩からかけた。いくら男とはいえ、凪はまだ十三。まだ少年の域を出ない。大人の義信に力づくで犯されることはとても恐ろしかったに違いない。
「怖い思いをさせたな。許せ。父上に頼んで望月千代女の元へ帰れ。ああ見えて父上は情にもろい。訳を話せば任を解いてくれよう」
自室に軟禁され、妻と会うことも叶わず、手近にいた凪を欲情の捌け口にしようとした。
「義信様がお怒りになったのは私が男であるせいです。私は身を偽り義信様を騙しておりました。ですがたとえ男であろうと、私は義信様を探るために遣わされた、千代女様の『ののう』なのです。たとえどのような目に遭おうと、覚悟はできておりました。それなのに取り乱してしまったのは、私の不徳のいたすところにございます」
「無理はしなくていい」
女はもちろんのこと、男だから犯していいというわけでもない。男とて力づくで犯されるのは非常に恐怖を感じるものだ。
凪は女そのものの仕草で涙を拭い、気丈に顔を上げた。