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花菱落つ
第2章 真田源五郎
「こちらでしばしお待ちを。主はすぐにまいります」
「承知いたしました」
信玄の奥近習、真田源五郎は信濃小県にある真田の所領への里帰りを終え、隣にある禰津の里へと立ち寄っていた。真田の里へ滞在中に甲府から文が届き、帰途禰津の里から「ののう」を一人、信玄の元へ伴って来て欲しいということだった。
禰津の「ののう」のことは源五郎も多少は聞き知っていた。歩き巫女として諸国を巡りつつ、情報収集や工作をする甲賀の流れを汲むくの一。その性質上「ののう」は美女ばかりだと聞くが、女性と連れ立って旅をするのは任務とはいえあまり気が進まなかった。
「承知いたしました」
信玄の奥近習、真田源五郎は信濃小県にある真田の所領への里帰りを終え、隣にある禰津の里へと立ち寄っていた。真田の里へ滞在中に甲府から文が届き、帰途禰津の里から「ののう」を一人、信玄の元へ伴って来て欲しいということだった。
禰津の「ののう」のことは源五郎も多少は聞き知っていた。歩き巫女として諸国を巡りつつ、情報収集や工作をする甲賀の流れを汲むくの一。その性質上「ののう」は美女ばかりだと聞くが、女性と連れ立って旅をするのは任務とはいえあまり気が進まなかった。