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花菱落つ
第1章 躑躅ヶ崎館
「ではこれにて御前失礼いたしまする」
事が済むと千代女はあっさりと寝所から下がって行った。甲賀のくの一とはこのようなものかと、信玄は感嘆の思いだった。今まで体を合わせたどんな女とも異なる性技と、信玄とも対等に話すことのできる知性。これならばきっと信玄の満足する成果が得られるに違いない。
小姓を呼び褥を替えさせた信玄は、精を放った後ならではの満たされた気だるさの中、しばしの眠りについたのだった。
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