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花菱落つ
第9章 生生流転
すべてが済むと義信は威儀を正した。目を閉じ深く静かに呼吸を整える。
「後始末を押し付ける形になってしまったな」
「いえ」
これから起こる事を若い凪に見せるのは忍びないとも思ったが、凪も元は侍の子。覚悟はしているはずだ。その証拠に凪は義信の真正面に座り、固唾を飲んで義信を見守っている。
義信は頚に銀色に光る刃を当て、一気に引いた。
床一面に、紅い命の花が飛び散った。
永禄十年十月十九日、武田義信自害。享年三十歳だった。
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