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『コミックサイトで逢いましょう』―番外編―
第3章 【第三部】 春の日の泡沫(うたかた)の………
横を向いたままのつれない恋人の気を引くために、耿輔は熱い吐息でモトミの耳許を揺らす。
「…好きだよ、モトミ。俺のものになって…いいだろ」
身体の中を駈け巡る淫靡な感覚。優しいテノールの声に身体が震えた。
同時に、モトミの細い顎がコクリと頷いたのがわかる。
ふたりの思いは同じ時間(とき)へと進んでいた──
いや、進むはずだった。
というのも、そこで一旦事が中断されたから。
その時、リビングのドアが音もなく開いて、いきなり耿輔の弟の亨(トオル)が入って来たのだ。
瞬間、固まるモトミ。だが、耿輔は全く動じない。それどころか、亨を挑発するような眼で見詰めると、トンでもないことを言い放つ。
「ぁあ、亨。帰ってきてたの。羨ましい?モトミを抱けるのは俺だけだってことよく分かったろ。嫌いってのは好きってことなんだよ」
唇を引き結んで兄の言葉を聞く亨。