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堕天使 1st gig.
第30章 レセプション
俺が迂闊に

『ルージュとか日本でも買えるだろ?』

とたった一言を言った瞬間、小雪とリナから

『海外オリジナルカラーとかあるんだよ。』

『それに免税は馬鹿には出来ないんだよ。』

『大体、こんなチャンスが毎回ある訳じゃないでしょう!?』

『もうアルトは黙ってて!』

と一気に叱られて何も言えなくなってしまう。呆れた顔の五十嵐から

『馬鹿だね、お前さんは…。』

とガキみたいに女の話しに口を挟んで女達を怒らせるなと言われてしまっていた。今日の飲み代を奢る雄太が

『なんでこんな隊長に勝てないんだろ?』

とか言いやがる。ハヤトと大地が

『うんうん…。』

と頷くから俺は

『それでも俺が隊長なんだよ!』

と開き直っていた。宗司は涼し気な顔のまま

『それが隊長殿ですから…。』

と笑っていた。ガキでも馬鹿でも俺が隊長で俺が俺でなきゃダメなんだというリナや宗司が居るから俺は開き直るしか出来ないけどそうやって毎日を生きる事を選んでいた。

演習の2日前、俺が先に家を出ようとするとリナが不安な顔で

『いってらっしゃい。』

と言って来る。俺は軍の飛行機でリナ達家族は一般旅客機だからだ。

時差は向こうの方が日本よりも2時間早い程度だが、軍の人間に対してはあまり親切じゃない輸送機で8時間のフライトだ。

朝にとんでも到着は夕方だから、俺は2日前から家を出る必要があり、リナは明日の飛行機で向こうに着くというスケジュールになっていた。

いつものようにリナの頬にキスしてから

『向こうでな。』

と言って俺は家を出ていた。基地に向かい、今日は本部には行かず、待ち合わせた宗司と今度は軍の車に乗り換えて軍の飛行場へと向かう。

輸送機には俺達以外の演習参加者が詰め込まれ、8時間、やたらと揺れる輸送機で俺は現地に着いていた。

現地の演習用の仮設基地に向かい、まずは演習参加の登録を受けてから兵舎の割り当てを貰う。今夜から俺が2週間、寝泊まりする宿舎だ。

下級とはいえ一応指揮官の俺はシャワーとトイレが1つになったユニット付きの個室が渡されるが、宗司は下士官扱いだから一般兵舎で12人用の大部屋のベッド1つ分のスペースが与えられるだけだ。
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