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堕天使 1st gig.
第36章 未来へ
季節が変わり、暖かくなり、訓練兵だった明石が2課の部屋で俺に敬礼していた。

大地が生意気に

『可愛がってやる。』

と張り切り、雄太やハヤトはニヤニヤとして涼宮は相変わらず父親の顔で隊員達を見ていた。

宗司が

『今年は良い訓練兵が見つかりますかね?』

と俺に涼し気な顔でコーヒーを入れる。五十嵐は相変わらずで、3度目のプロポーズを小雪に拒否されたらしく

『100でも200でも小雪がうんと言うまでやってやるさ。』

とムキになっていた。いつもと変わらないいつもの日常の中、俺は時々戦闘して、時々ブチ切れる。

そして、俺は俺が欲しかった場所へと帰って行く。

休暇の朝、小さな庭で真っ白なシーツを嬉しそうに物干しに干すリナが笑顔で

『いい天気だから後で散歩に行こうよ。』

とダイニングでコーヒーを飲む俺に言って来た。美優が

『とーしゃ、抱っこ…。』

と俺に手を伸ばしヨロヨロと満面の笑みで歩いて来る。それはいつかのリナにそっくりで俺は美優に手を広げてやる。美優がすっぽりと俺の手に収まり、コーヒーを飲む俺の膝に座るなり

『んーっ!』

と赤い顔でいきみ

うげ…

と思った俺に

『出たぁ…。』

と嬉しそうに報告する。

『リナ!美優がうんちした!美優!父さんはトイレじゃねぇよ!やるならトイレでやりなさい!』

『ちょっと、早く美優をここに寝かせて!』

『あーい!』

と相変わらずドタバタだが美優にトイレのしつけが必要な時期になり、そうやって美優の成長にアタフタする俺とリナだったが笑っていた。

オムツを無事に替えた美優にリナが

『うんちはくちゃいからメッ!だよ。』

と笑っていた。美優も

『かーしゃ、あーい!』

と笑っていた。くだらない平和に笑う家族だが、俺が欲しくてたまらなかった家族で俺が何よりも愛しいと思う家族だった。

そうやって未来へと進んで行く家族の未来を守る事だけを考えて俺は戦い必ず生きて帰って来る。

俺が守りたい未来の為に、まだまだ続く未来の為に俺はまだ戦いを止める訳にはいかないんだと自分に言い聞かせるだけだった。

­­­­ 1st gig. fine
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