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堕天使 1st gig.
第3章 現場
静寂の中、静かに小雪のカウントが始まり

『60…、59…、58…。』

と無線は完全に小雪だけのものになる。

『3…、2…、1…。』

小雪のジャミング開始と同時に涼宮が会議室の扉を開け、俺と雄太がテロ犯に向けて銃と共に握っていた小型ライトの光を浴びせる。急変する現場の状況に人質が悲鳴を上げる中、テロ犯が

『近づくな!』

と一際、甲高い声で叫んでいた。

女か?

そう俺が考えた瞬間、チャラ男の雄太が緊迫したテロ犯に向かって

『ちょっと…、君、女の子じゃん?なんでこんな事やってんの?』

とまるで今からナンパするように話しかけ始めていた。傍から見れば雄太の行動は不謹慎だが、これはこれで役に立つ。チャラ男の雄太が独特の説得を始めるとテロ犯の視線が自然と雄太へと向くからだ。

テロ犯の意識が雄太に向けられるその間、俺と宗司、涼宮はジリジリとテロ犯に間を詰めて近付いていた。

状況は雄太のテロ犯への会話が続いていた。会話といっても雄太が一方的に語りかけているだけだった。

『ねぇ、政府はテロには屈しないって堅物だよ?無駄だからこんな事はさっさと止めて俺とどっかに遊びに行こうよ。』

とかやはり女が相手だと雄太はナンパに近い説得をしていやがる。確かに女がやっている事は無駄なテロには間違いない。俺が女を見る限り、貧困の女だと一目でわかるくらいに痩せた手首をしており、その手には起爆装置が握られている。

大戦が終わってもなお、未だに貧困のまま奴らは自爆犯をテロ組織から引き受ける事がある。テロ組織はそうやって自爆した人間の命の代金を家族の口座に振り込むからだ。

だが、その代金はテロ協力の物的証拠として結局は所轄に押収され、国に引き渡される。押収を家族が拒めば、家族もテロとして逮捕される運命だ。

だから雄太の言う通り、これは無駄なテロには間違いない。だが俺からすれば雄太の説得もまた無駄な行為と言える。自殺を決意した自爆犯に説得なんて他人の言葉が届く事はない。

そんな無駄な状況でも俺や宗司は確実に自爆犯に近付いていた。距離にして後2mを切ったところで自爆犯が

『近づくなと言ったはずだ!』

と近付いた俺達に気づき震えた声で叫んでいた。
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