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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?
※ ※
と、自身を取り巻くそんな事情を、露ほども知る由のないサラは――。
「あの……一体、それは……どうして?」
ついさっきの紺野の告白を受け、その様に訊ねている。
射精ができない――ということ。それが男という性にとってどれ程のことなのか、サラに実感できるものではない。が、それでも。あらゆる意味において間違いなく、彼にとって大きな悩みであることを疑う余地はなかった。
それも紺野涼はまだ若く、見た目にも十分過ぎるくらいの魅力を放っている。その表情も精気に満ち。どう考えても男として、少なくともまだ下り坂には差掛っていないはずだ。
現に先程は、相手をした女を満足させた。その紺野自身の逞しい猛りは、サラも目にした通りだ。
男が立たずに、結果、イケない――という話なら、辛うじて思い当りもする。が、紺野はあれだけ立ちながら、それなのに――イケない?
当然、紺野がそんな嘘を言うはずもないと思うから。サラはとにかく、少しでも理由や原因を知りたくなった。
が、しかし――
「それを語る前に、サラさんに――お願いしたいことがあるんだ」
紺野はそう言って、サラの傍らに立った。
「私に……お願い?」
サラの見上げる瞳――その頬を優しく撫ぜ。
「君のその瞳で、僕のことだけを――見つめていてほしい」
紺野はサラに、そう言った。
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