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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?

    ※    ※


 一方、紺野の一夜の相手となった、咲花。その姿は既にホテルを遠ざかり、夜の街並みを奔るタクシーの中にあった。

 しかし、その内心にも沸々と忸怩(じくじ)たる想いが渦巻きつつ、あるようで――。


「遅漏のイケメンにしろ早漏のガキにしろ、この私をコケにするなんて……ホント、上等だよねぇ」


 その外見に似つかわしくない言葉を耳にして、驚いた運転手がルームミラーを覗く。すると、じろっと睨み返されて慌てて視線を前方に戻した。


「けど、それ以上にムカつくのは――」


 咲花は言いかけた途中で、鞄からスマホを取り出す。


「ああ、うん――ええ、今日ぉ? もう疲れたし、お店には行かなーい。いいの――どうせ、安い客しか来てないしさぁ」


 着信に応じ、何者かと話し始めていた。


「それよりさぁ。ちょっと、若い連中を何人か貸してくんない? うん――うん――別にいいよ、それで。多少はヤンチャで無茶するくらいの方が、こっちとしては都合がいいかも。ええ、いいじゃん別に――明日はちゃんと行くから。じゃあ、よろしくぅ――」


 と、通話を終わらせ。


「ふふ、ちょっと――楽しくなるかも、ね」


 咲花はそう呟き、怪しい笑みを浮かべた。

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