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【Onlooker】~サラが見たもの~
第5章 アイドルの、掟(ルール)?
都心、とあるマンションの寝室で――。
「……」
起き抜けに、ふっ、と小さく息をついた。それは、ホッとした心理の表れなのだろう。
今朝はまだ――でも、そろそろ――かな?
ある種の予感を覚えれば、それはまた憂鬱の始まりになった。
ベッドから立ち上がり、その足で浴室に向かう。流れのままに全裸となると、シャワーを浴びた。それは、とてもとても温い、温度だった。
だが、その表現が既に妙なのである。『温さ』とは適度という感覚に似たものだから、どこまでその丁度良さを突きつめた処で行きつく先は一つだとわかる。
だから『とてもとても温い』――という、行き過ぎた『温さ』などないのだ。
「……」
それでも彼、紺野涼はその温度を探す。
『冷ます』のではなく、『覚ます』ためには、そんな温さが必要に思えたから。
そして『今朝の猛り』は、その温さの中でも、まるでその望みを諦めようとはしてなかった。