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【Onlooker】~サラが見たもの~
第1章 見るだけの、お仕事?

「ああん、どうしたらいいのよぉ……」


 今、彼女は激しくテンパりつつあった。


「部屋代と生活費もろもろ、切りつめたって月に十万は必要で……ああ、でもでも。その前に後期分の学費の方を、先になんとかしなきゃ……」


 机の上のノートパソコンを間近で睨みながら、ブツブツと呟く。

 右手でキーボードを叩きつつ、左手でも器用にスマホを操作すると時折そちらにも視線を送った。

 とにかく今は、情報を必死に探し集める。暫くは脇目も振らずに、そうしていたのだが……。


「いやいや、無理無理。ぜーったいに、無理だってぇ!」


 突然、椅子を背もたれを軋ませながら、大きく反り返り部屋の天井を仰いだ。

 彼女の名は、白隅サラ(しらくま さら)という。

 近頃二十歳になったばかりで、社会福祉系の専門学校に通い二年目。

 『サラ』とはカタカナでの表記になるが、別にハーフというわけではない。両親がハリウッドスターから勝手に名前を拝借したのであって、当人は生粋の日本人である。

 それを物語るように、パチクリと瞬きをする大きな瞳は、吸い込まれそうなくらいの漆黒だ。

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