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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?

    ※    ※




 シャアァァ――。


 ホテルのバスルームのシャワーの温度を、白隅サラは温いと感じた。だが、実際にそれが温いのではなく、自分の身体がそれに勝る熱を帯びているのだと、わかってはいた。

 紺野涼が放ちサラの裸身に浴びせかけたものは、単に大量の精液だけではなかったから。おそらくはあらゆる想いに網羅した上で、期せずしてその全てをサラに浴びせかけていたのだ。


「……」


 サラは指先で、そっと右の頬を撫でる。紺野の精液の、その熱量がまだそこに残されていた。まるで不快ではなかったが、不思議な感触だと思っている。

 そして、身体が熱い原因は、なにもそればかりではなくって――。


「いやっ……」


 結果として、その一言が紺野涼を夢から引き戻してはいた。それでよかったと思ってはいる――けれども。

 いやっ――そう発して涙を流した理由は、紺野涼が自分のことを見ていない――それが、哀しかったから……。

 サラのそれと知らずに咥え取られていた、その乳首がまたぴりりと尖った。



「……」


 もしも彼が真っ直ぐに自分を見つめ、それで求められていたら?


 もし、そうなら、私……。


 ――キュッ。


 サラはその答えを今は出さずに、温いシャワーを止めた。







【第七章へ】


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