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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
「は……ええっ?」
「あら、どうしたの。フフ、顔が真っ赤だけど」
「ああっ……べ、別にそんなこと……はぁ」
言葉では誤魔化しようのないほど火照った頬を、サラは両手で押さえた。名前を耳にしただけで、あの晩のことが生々しく思い起こされている。
それに、しても――
「……」
サラは素知らぬ顔で運転をする零子の横顔を、チラリと眺めた。
紺野涼との一夜(あくまで仕事上との注釈をサラは必要とするだろうが)のことを、果たして零子はどこまで知っているのだろうか。もちろん仕事の延長としてホテルに残ることになったのは、零子の許可があってのことだが……。
付き合いが古いという紺野と零子の関係も気にならなくは、なかった。
「ウフフ、なぁに?」
視線を感じていたらしく、零子は前を見たままそのように言う。
その様子からして――
「あ、いえ」
零子さんは、なんでも知ってそうだな――と、サラは思っていた。
オンルッカーとしてという以上に、女としての経験に圧倒的な差があることを認めなければならないのだろう。