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【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?
頬を真っ赤に染めたり、冷や汗を浮かべたり、ため息を洩らしてヘコんでみたり。その表情を見るだけで忙しない、そんなサラを好ましいく思ったように。
「ホント、かわいいのね」
零子はポツリと、そう呟いた。
「零子さん、今なにか?」
「ううん、なんでも」
零子は自らの言葉をそうやって煙に巻いてから、がらりと話の矛先を変えた。
「サラちゃん――まだ言ってなかったけれど、今日はお仕事じゃないのよ」
「えっ、じゃあ?」
「ちょっと、ご招待を受けているの」
「は、はあ……?」
そんな気の抜けた返事をしながら、サラは車の外に目を向けた。随分と都会の風景だとは、何気なく察してはいたけれど……。
「……!」
来たことなんてほぼなくても、それが何処なのかはサラにだってわかった。その複合商業施設は、テレビなんかでよく目にしている。
そして地下駐車場に車を滑り込ませ、零子がサラを連れて目指した先は――?
「あの……零子さん……?」
何処をどうやって分け入って来たのか、それすらもわからないまま、只々、その背中の後にくっついていた。オンルッカーの仕事を初めてから、ホテルのスイートルームや高級マンションにも足を踏み入れてはいたけれど、そこはまた趣が違っているように感じた。
巨大な複合商業施設の中で、そのシンボルとして聳えるタワーマンション――。
「ううっ……」
その高層階のフロアに立ち、サラは思わず足が竦んだ。