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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?

「……」


 本来、およそ自分には関わりのない場所。超高級マンションのリビングスペースは、しかし、サラの目には何処か散らかって見えた。

 だがそれは、物理的に(ゴミ等が)散らかっているという意味とは、もちろん違って。言ってしまえばある意味において、散らかって見えるのはそのセンスか。どこか雑然としていて、どこかアンバランス。

 室内の中央には、取り揃えられたアンティークのダイニングセットがドンと陣取っていて、招待された面々にはそれぞれの席が用意されていた。テーブルの上には燭台のキャンドルの火が灯され、それが並べられた料理らをなんとなく照らす。適度に切りそろえられたローストビーフの肉片を、サラは異様な紫色だと感じた。

 部屋の照明はそればかりではなかったが、ムードを演出するような間接照明はその周囲だけをぼんやりと浮かび上がらせている。

 テーブルの周囲を見渡すと、大小の幾つものソファーや奇抜なデザインの調度品等々が不規則に設置。サラの座る席の後方には、ピアノなんかもあるし。あとは暗くてよく見えないけれど、部屋の奥には寝室でもないのにベッドも置かれているようだ。

 壁に掛けられた額縁の、誰とも知らぬ老人の肖像画が、なんとも言い難く不気味。

 出迎えた口髭の(執事風の)男は、とりあえず給仕係に徹しているよう。さっきからテーブルに料理等を用意してくれていた。

 しかし、調理係はまた別にいるようで、パーテーションで仕切られたで部屋の一角(ダイニングキッチン?)から、決して弱くない火力を用いているであろう調理の音が聴こえた。サラはそれ以外にも、数人の人の気配を感じている。


 なんなの……一体?


 サラはキョロキョロとして、落ち着けない。

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