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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
「あらぁ、紺野さん――なにか問題でもございましたぁ?」
紺野が間に入っても、咲花は一向にそのペースを乱す様子はない。
それを踏まえ、ふっと小さなため息をつき前髪を軽く払うと、紺野は言う。
「どうして君が、そんなにサラさんをいじめるのかしらないけど。どうやら、あの夜のことは無関係ではないようだね」
「あの夜?」
「もちろん――オンルッカーであるサラさんの前で、僕の相手をしてもらった――あの夜のことだよ」
「まあ、そうですねー。私がこのお嬢ちゃんに会ったのは、あの時だけですからぁ。仰るように、確かに関係はあるのでしょうね」
咲花はあっさりと、そう認めている。
「だとすれば――君を不愉快にさせたのは、寧ろ僕の方ではなかったかな? でもそれとて、あの段階では織り込み済みだったはずだね。僕の抱えていた問題については、零子から聞かされて承知していたのではなかったかな?」
「ええ、そうですそうですゥ」
咲花は何気に紺野の言葉に応じながら、尚も手にしている包丁をぞんざいに扱っている。いつ自分の手の上に落ちはしないかと、優男が恐々とその安定しない刃先を眺めた。
「私としても、あの夜のことは納得しようとしたんですよぉ。紺野さんは私とセックスしたくせにイカなくってー。さっきの零子さんと同じで、女としてのプライドはズタボロ――でしたけどねぇ」
そう言いながら咲花は恨めしそうに、紺野の顔を眺める。
「だから、それは僕の問題だと言っている。それは言わば、心の病であり。それを以って、君や――もちろん零子の、女性としての魅力を量れるはずがない。そんな風に考えること自体がナンセンスだ」
紺野はいつになく真顔で、そう語った。