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【Onlooker】~サラが見たもの~
第8章 危険な、遊技?
「ま、二人いるしぃ。一人目は、私がやったげるよ。けど――」
「……?」
「合図は、お嬢ちゃんがしなさいよ。ほぉら、いつでもいいから」
と、咲花は包丁を持った手を、不安定にプラプラと揺らす。まるで汚いモノでも摘みあげたような指先から、いつその強靭が落下しても不思議ではなかった。
それを放つタイミングを、サラの口で発しろと言っている。
「う……あ、あ……」
咲花の手の包丁を不安げに仰いだ優男の目には、涙が滲んでいた。
それを見たサラは思わず――
「やめっ――!?」
しかし、その言葉の先は言わせてもらえない。咲花の左手がグッとサラの口の辺りを塞ぐ。
そうして、顔を近づけ咲花は言った。
「もし――この二人に“罰”を与えないというのなら、それでもいいよぉ」
「……?」
「でも、さっきも言った通り――それは、この二人の“罪”を認めない、ということと同じなの。つまり、その場合――お嬢ちゃんはこの二人に、処女を犯されることを許す、ということになるけど。それで、いいのかしらね?」
それは全く理にかなった話ではない。が、咲花はその独創的なロジックを強引にサラに押し付けようとしていた。
「どうするのぉ? “罰”を与えないというのなら、この二人を自由にしてお嬢ちゃんにけしかけることになるけど」
咲花はそう言ってサラの口を塞いだ左手を放し、部屋の片隅の大きなベッドを指示した。
「……」
あまりにも無茶な展開に、思わず泣きそうになるサラ。
そんなサラを、くすっと見つめ――
「ほぉら、合図するだけだってえ。別にぃ、簡単でしょう」
咲花は、また右手の包丁を揺らした。
もう、やだ……。
思わず挫けて、現実から逃れるように頭を振るサラ。
と、その時――。
「いい加減に、してくれないかな」
その前でサラを庇うように立ったのは、紺野涼だった。