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【Onlooker】~サラが見たもの~
第9章 委ねられる、人生?

「そっか……」


 と、安堵の言葉を洩らした後で、ハッとあることを思い出す。


「な、なんだよ?」

「いいから、見せて!」


 そう言ってサラは両手で黒木の左右の手を取り、その十本の指を端から眺めた。

 そうしたサラの真意に、黒木もすぐに気づき――。


「全部あるよ。つーか、今更確認する意味あんのか。だとしたら、とっくに気づくだろうが」

「じゃ、じゃあ……」


 もしかして――サラの視線が黒木の股間付近に注がれた。


「バーカ。どこを見てんだよ?」

「あ、ゴメン……けどっ……」

「チッ……そっちも大丈夫だ」


 そう教えられ、サラは顔を真っ赤にしながらも、ホッと胸を撫で下ろすのであった。

 それでは動画の場面の後、危機をどう乗り切ったのか。その部分を黒木は、端的にこう話していた。


「偶然そこに社長に顔を出して、それで救われたんだ。あの人、キャバクラ時代からその辺の人脈も築いてたんだろ。そうして、俺は命からがら【Onlooker】に拾われたってわけだ」

「ふーん……そうだったんだ」


 その一連の事情に納得がいくと、サラは感嘆の言葉を洩らしていた。

 すると――


「で、もう放してもいいだろ――手」

「あっ……そ、そうだね」


 サラは黒木の手を掴んだままだったことに気づかされ、それを放そうとしたが。


「あれ……?」


 それは、ドクロのタトゥーの左手。その手触りに違和感を覚え、サラは改めて黒木の顔を見つめる。

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