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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
今宵、ホテルの部屋に顔を揃えたのは、四名。
白隅サラは、零子との約束を果たすために。
黒木俊太は、サラの想いに殉じようとして。
紅谷零子は、オンルッカーに立ち戻り若い二人を見守ろうとした。
それでは、もう一人――紺野涼はなんのために?
動機が不明な者がこの場に居ることが、やはり看過できないようである。特にそれを聞かされてなかった黒木にしてみたら、そうなのだろう。
「どうして、紺野さんがいるんすか?」
その名を口にしながら、黒木はその理由を零子に訊く。
「嫌なの?」
と、問い返されて。
「当然」
と、即答した。
すると、それまで成り行きを静観していた紺野が、ソファーから立った。
「もし当事者の了承が得られないのなら、僕は立ち去らなければならないだろう。でもね、黒木くん――僕だって別に、覗き見しようという悪趣味から申し出たことではないんだよ」
「だったら、どういう理由なんすか? それがわからないから、こっちとしても悪趣味を疑うしかない」
「ハハハ」
と、笑い出した紺野に――
「なにか、可笑しいっすか?」
顔をしかめて、黒木が言う。