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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
顔をしかめて、黒木が言う。
「ごねている本当の理由は、僕が居ることによって余計なプレッシャーが増すから」
「は?」
「それが、怖いんだろ」
そう問いなおした紺野を、黒木が険しい顔で睨みつめた。
そんな二人の顔を交互に見て、困ったサラはオロオロとするだけ。
そうなれば、その場を治められるのは一人しかいないだろう。
「理由なんて、あってないようなものよ。いいえ、むしろ――」
「……?」
「理由を探すために、オンルッカーが存在する。悩める人々の、その心を顕にするためにね」
零子はそう話し、それから黒木を見つめた。
「黒木くんは、自ら望んでここに来たわけではないから、その気持ちもわかるわ。でもね、サラちゃんのために重圧に晒されることを決めたのなら、お願い……乗り越えて」
「社長……」
「今日は社長じゃない。だから、オンルッカーとして言わせて。この場に集った四人の、持ち寄ったそれぞれの想い。そこに無駄なものなんて混ざらない。それだけは信じて」
零子の言葉を受ける形で、紺野もこう続ける。
「黒木くん、頼む。僕にとっても必要なことなんだ」
そんな二人を前にして――
「よくわかんねーけど……一応、わかりましたよ」
黒木は髪を掻きながら、諦め顔で言うのだった。