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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?


 先ほどまでなら零子や紺野の視線に曝されていたことにより、見られている自分をしっかりと意識することができていた。

 零子の視点を借りる形で、自分の姿を俯瞰することもできていたのである。

 だが、第三者の視点が失われた今。サラがそれでもサラ(自己)を見つめようとするのならば、もはや感じるより他に術はないのだ。

 逃げることなく、正しく――それを。

 なにも難しいことではない。本来、心はあるがままに感じゆくもの。現にサラは、黒木からの愛撫により、それを単に快感として女を潤すのではない。

 二人の経緯の先で、心にこそ感じゆく想いがあるからこそ――


「はあっ! ……ふぅん」


 サラは熱く、自らの在り処を存分に濡らした。

 しかし、永く閉ざしていた部分は、同じようにならないから。サラがそれを感じる時には、相応の勇気を求められるはずだ。

 それは、サラがずっと目を逸らし、感じまいとしてきた想い――否、想いになる前なら、それは単なる゛出来事゛だど称するべきかもしれない。

 その時に、自分が壊れてしまいそうだから。サラは今、黒木に抱かれ彼にすがろうとする。


「俊……くん」

「ああ、なんだ?」

「私……怖いよ」

「そうか」


 黒木はそっと震えるサラの頬を撫でて、言った。


「だが俺は、お前のこと――抱きたいんだ」

「あ……」

「そんな俺で、よかったのか?」


 いつになく、優しい顔を向けていた黒木に――


「うん……抱いて」


 サラはそう言って、ほろりと一滴、涙を溢した。



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