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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?


「……」


 焦りばかりでは、どうしようもなく。

 サラの生まれた年に開通し東京と故郷との距離をぐっと縮めたという超特急ですら、この時ばかりは一向に前に進んではくれないと感じる。サラの焦りが袋小路に行き当たっているかのように――。

 如何に高速で移動していようとも、座席にじっと座ることしかできない自分が、酷く歯がゆかった。

 それでも――。


 ま、まだ……希望は、あるよ。きっと……大丈夫。


 暗い車窓を眺めながら胸に手を当て、必死に自分に言い聞かせようとしていた。心の中で発した声、それさえも震えているように感じた。

 心を強く、前向きにしようとするほど、相反する“逃げたい”気持ちが滲む。


 ま、まさか……だって、あの呑気でマイペースな私のお父さんと、優しくてちょっと天然入ってる私のお母さん、だよ? そんな二人が一体、なんで――?

 大丈夫……ううん、絶対に平気!


 サラが強く念じれば念じるほど、“大丈夫”だったり“平気”だと信じようとする根拠に乏しくて余計に心細くなった。

 そして、サラは知らない。否、まだ考えたことすらないのである。
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