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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
「……」
最前列に着席しているサラは、祭壇に飾られた両親の遺影を黙って見つめる。父親の方は照れたような笑い顔の写真で、母親の方は包容力に満ちた微笑を浮かべたもの。どちらも、その性格をよく表しているように思えた。
思わぬ再会……。
お経が読まれる中、式に訪れた人の列が次々に流れてくる。そして焼香を終えた人々が、サラや祖父母らの遺族に向かって頭を垂れた。それに応じると、サラもその一人一人に対し丁寧なお辞儀を返してゆく。
よく見知ったご近所さんたちも、農協の関係者、サラの地元の友達などの姿も見られ、みんな来てくれたんだな、と漠然と感謝はしていた――けれども。
「……」
それを繰り返しながらも、サラが思っていたこと――それは。
私、今――どんな顔してる? ――ううん、どんな顔していれば、いいのだろう?
まだ、たった数日前である。土砂崩落があった区域から、少し離れた道沿いに設けられた仮設のテント。出入口をブルーシートで覆われた、そのテントの中にサラたちが招き入れられたのは、たった一つの事実を確定するためだった。