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【Onlooker】~サラが見たもの~
第11章 オンルッカー……?
「……」
その時の光景をなんとなく思い返しながら、サラは告別式に臨んでいた。突然の災害で不幸にも両親を失ってしまった、そんな悲劇のヒロインの立ち位置――。
そうであることを、そこはかとなく意識しながら。何故だろう。サラは自分の心が意外なほどに穏やかであることには、既に気づいていた。
サラはどうして自分が平然としていられるのか、とても――不思議に思っていた。
その理由は――?
「サラ……田舎に戻っておいで。お父さんもお母さんも、住み慣れた家すらも失ってしまったけれど……こんな時だからこそ、じいちゃんやばあちゃんと一緒に支え合おうじゃないか」
告別式が終わった後で、その様なことをサラは祖父母に言われていた。二人は暫くの間、叔父さんの家で世話になるということ。国が復興に動き出すのにも、被災者が支援金等を受け取るのにも、まだ時間のかかる話なのだろう。
サラだって自分が、わがままを言える立場でないことぐらいわかっていた。けれど――
「おじいちゃん、おばあちゃん――ごめんね。私、やっぱり専門学校はちゃんと卒業したいの」
「しかし……」
困ったように顔を見合わせた祖父母が、言葉を詰まらせた意味はわかっていた。
「大丈夫。自分のためにかかるお金くらい、自分でなんとかしてみせるよ」
そう、頼りにしきりだった両親は、もういないのだから。だけど――
「ううっ……なんて気丈な子だろう」
そう言って涙を滲ませた祖父母のことを、サラはじっと見つめながら、じわりと胸を締めつけられる気がしていた。