この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第2章 ラブリーな、彼女?
※ ※
それから数日後、サラが事務所を訪れた時だった。
「そうそう、サラちゃんにお礼を言ってほしいって」
零子は思い出したように、そんな風に言う。
「お礼?」
「ヤマダさんよ。もう、ウチには仕事は頼まないとのことだけれど。お蔭で、いい切っ掛けにできそうだって、そうも言ってくれたわ」
それを訊き――
「そうですか。よかった」
サラは満足気に、その表情を緩めた。
そんなサラの様子を、零子が気にかけて。
「一体、どうやったのかしらね?」
「は?」
「あのヤマダさんが、そんなにも心を開くなんて。そう一筋縄には、いかなそうだもの」
「いやっ……私なんて、別に……」
そう言いながらもサラは、あの日のある場面を想い返し、その顔を真っ赤に染めた。
それは、元気を失ったヤマダのモノを、手うを使って元気づけた、あの光景である。
ななな、なんで私、あんなことできたんだろ……?
自分のことながら、その時の心情は全く以って謎なのであった。
「あら、やっぱり……なにか秘策があったようね」
「そんな、まさか――」
そう言って取り繕い、それからサラは取り澄まして言うのである。
「私はオンルッカーですから――見ることが、お仕事です」
【第三章へ】