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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?

    ※    ※



「お前、その恰好――もう少しなんとかならなかったわけ?」


 ソファーに長い脚を組んで座り、頬杖をつきながら黒木が呆れたように言う。


「だって……こんな処だなんて、聞いてなかったもん」


 サラも黒木と隣り合わせのソファーに座り、やや恥ずかしげに身を縮めると、口を尖らせて言った。指摘されたその服装は、薄ピンクの大き目なサイズのTシャツにショート丈のキュロットスカート。

 バリバリの普段着であった。

 二人が訪れている場所は、都内でも名だたる高級ホテルのそのラウンジ。約束の時刻より早く到着したため、そこでドリンクを頼み時間調整をしていたのだ。


「ま、別にドレスコードがあるわけじゃねーけど。連れてる俺の方が気まずいつーかさ」


 そう言う黒木は、ダーク色系のスーツがデフォルト。別に普段となんら変わらないのだが、スーツであるだけサラよりはずっとましというわけだろう。


「ああ、もう。それは、すみませんでした!」


 ぐちぐち言う黒木に辟易とし、サラは開き直ったようにそう言った。

 学生で金欠なのに、そんなこと言われてもとムッとする。だったらそちらで、ドレスでもなんでも用意してくれたらいい、と思った。

 只でさえサラは緊張してる。何故なら、今夜自分を呼んでいるのは、他ならぬあのイケメンさんなのである。と、特別視してしまうが、まだ一度会っただけであるのだが……。

 俯きじっと思慮するサラを、その傍らの黒木は見つめて。


「そろそろ――か」

「!」


 ハッと顔を上げたサラに、更に告げる。


「客の部屋に――行くぞ」

「はい!」

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