この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?
※ ※
「お前、その恰好――もう少しなんとかならなかったわけ?」
ソファーに長い脚を組んで座り、頬杖をつきながら黒木が呆れたように言う。
「だって……こんな処だなんて、聞いてなかったもん」
サラも黒木と隣り合わせのソファーに座り、やや恥ずかしげに身を縮めると、口を尖らせて言った。指摘されたその服装は、薄ピンクの大き目なサイズのTシャツにショート丈のキュロットスカート。
バリバリの普段着であった。
二人が訪れている場所は、都内でも名だたる高級ホテルのそのラウンジ。約束の時刻より早く到着したため、そこでドリンクを頼み時間調整をしていたのだ。
「ま、別にドレスコードがあるわけじゃねーけど。連れてる俺の方が気まずいつーかさ」
そう言う黒木は、ダーク色系のスーツがデフォルト。別に普段となんら変わらないのだが、スーツであるだけサラよりはずっとましというわけだろう。
「ああ、もう。それは、すみませんでした!」
ぐちぐち言う黒木に辟易とし、サラは開き直ったようにそう言った。
学生で金欠なのに、そんなこと言われてもとムッとする。だったらそちらで、ドレスでもなんでも用意してくれたらいい、と思った。
只でさえサラは緊張してる。何故なら、今夜自分を呼んでいるのは、他ならぬあのイケメンさんなのである。と、特別視してしまうが、まだ一度会っただけであるのだが……。
俯きじっと思慮するサラを、その傍らの黒木は見つめて。
「そろそろ――か」
「!」
ハッと顔を上げたサラに、更に告げる。
「客の部屋に――行くぞ」
「はい!」