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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?
※ ※
【Onlooker】社長室では――。
窓から何気に外の風景を見ていた紅谷零子は、ふとスマホを手に取った。
「黒木くん? ――ええ。――そう、わかったわ」
それは用件伝達のみの短い通話かと、思わせたが。
「あ、それからね。サラちゃんのことだけど――」
零子は言いかけて、身体の向きを変えると窓枠を背にして立ち。
「うんん、やっぱりいいわ。――ええ、後のことは、よろしくお願いね」
電話を切り、零子はふっとため息をついた。
そうしてから、ヒールを鳴らしてツカツカと歩くと、壁際の本棚の前へ。そこで手に取ったのは、棚の奥で裏返しにしてあった写真立てだ。
「……」
その写真を、じっと見つめ――それから。
「さて、どうなるのかしら?」
零子はそう言って、写真立てを棚に戻した。
表を向けられた写真に写って見えるのは、今より若い頃の零子と――それが寄り添う相手の男は、どうやら紺野涼か……。
共に笑った、その笑顔も眩しい――若かりし日の二人。それと、現在の二人を繋ぎ止めるものは果たして、どの様な想いとなるのだろう。