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私は女優よ!
第3章 女であるが為に

 不倫を樂しむなら、本気になってはいけない。
明日別れがきても仕方ない関係なのだから。
割り切って好きになる。

 これが不倫の恋。

 ベッドの中で裸で戯れ、恥じらいながらも笑顔の私が居た。

 差し出した身体は、『こんな風に愛されたかった』と訴える。

 男も限りのある時間だからこそ、優しいセックスをし、女を悦ばせるのだ。

 分かっていながらも、自分都合の理由づけをしてしまう。

 「出会うのが、ちょっとだけ遅かったね」
 
 ドンマイという意味合いを含めて言い放っても、本音の部分は胸をズシンと貫き、泣きそうになる。

 そんな顔は見せない。

 宙を見上げ、男の身体の上で腰をくねらせ、性器を押し当てた。
繋がったまま、呼吸を整え、とっておきの笑顔を作り、視線を下げる。

 男は両手で乳房を包み、乳首を悪戯しながら複雑な顔でこう言うの。

 「環と結婚していたら、毎日、こんなセックスをして、満たされて、不倫なんてしてなかったのかもなぁ……。
環の旦那になりたかったよ」


 分かってる。
不倫男がセックスの時に口走る優しい言葉なんて、信じたらいけないって。

 そんなの分かってる!

 なのに、偽りの愛の言葉で救われてしまう時間もあるの!
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