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私は女優よ!
第4章 釣った魚に餌をやらないから、こうなるのさ
当たり前だけど、恋愛であろうと見合いであろうと、大概は互いの合意が結婚には必要だわ。
私達夫婦だって、最初から不仲だった訳ではない。
ちゃんと、運命的でドラマチックな恋もしたの。
私は大学を卒業して、丸の内では大手と言われたIT企業に就職した。
頭はさほど良くなかったけど、ルックスが味方してくれて、そこの受付嬢として働いていたわ。
取引先の営業で度々我社を訪れる夫と知り合った。
受付で何度か顔を合わせるうちに、そっと口説かれるようになった。
「星野さん(環)に会えるから、此処に来るのが楽しみで」
「星野さんに会えると得した気分になるよ」
心を擽られるような台詞、あの頃は会う度に行ってくれたのにね……。
「あっ、あのね、よく接待で使う料亭でさ、美味しい懐石料理を食べさせてくれるんだけど、今度ご一緒してくれないかな?」
有名所の都内では名の知れた料亭へ、初デートに誘ってくれたわ。
気前が良くて、レディーファーストも出来る紳士的な人。
これが主人の第一印象だった。