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私は女優よ!
第2章 地味に狡い
「お前は何も出来ない女だな。
何だよ、このシャツの皺。
アイロンも満足にかけられないのか?
飯を作らせても、掃除をさせても、どれもこれも褒められたもんじゃない。
女、失格だな!」
「ごめんなさい。あなた。
直ぐに新しいシャツを用意します」
「もういい!時間がない!!
全く、気が利かない。
本当、ダメな女だな!
環、お前って女は!!」
「………すみません………」
『こんな威張ったモラハラ旦那じゃ、女房が不倫のひとつやふたつ、したくもなるよな……。
ずっと堪えて反撃しないのも、不倫の潤いのお陰ってか?
旦那に怒鳴られながらも、裏の顔は逢瀬を思い浮かべて股を濡らし、舌を出しているのよ。
心が張り裂けそうなくらい辛い現実。
そんな中で、そっと息を潜めて心を解放する場所に意識を飛ばしてしまうのね……。
真の女優はこれぐらいの機転を利かせて演技に繋げる。
家庭では弱い女を演じ、不倫妻というもう一つの顔は微塵も見せない。
バカよね。旦那も。見抜けないなんて。
威張り散らして外のストレスを妻にぶつけてるような小さい男だもんね。
あんたの女房は、負け犬の遠吠えを右から左に流しているの。
瞳を潤ませて、下唇を噛み締めながらも、あんたの妻は心で嘲笑っているのよ。
最高な演技力を身につけてさ』