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心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第1章 出会い

それから
どれくらい眠ってただろう

気がついた時
俺は
コータの膝の上で
眠っていた


目は覚めたが

コータの話す声が聞こえて
俺はしばらく
眠ったふりをしていた


話してる相手は
どうやら
この店の店長みたいだ


「どうしてマリリンから
誘われたんだ?」


「それはよく分からないんですけど
話をもらった時は
もうびっくりしました。
俺には最高の紹介だったんで
すぐにOKしたんです」


「良かったな」


「はい。
今日はありがとうございました」


「いつも世話になってるし
お前なら信用できるから
いつでも言えよな。
仕送りもあるだろうから
安くしとくから」


「いつもすみません」


「かまわねーよ。
それより起きたらどうするんだ?」


「わかりません。
ずっと待ってた
大切な人なんで
この人のしたいように」


「ま、そーだな。
あ、客が来たから行くな。
じゃ、ゆっくりしてけよ」


「はい」


店長らしき人が居なくなると

コータは
そっと俺の肩に
手を乗せて

優しく

ゆっくりと
俺の肩を撫で続けた


あぁ…もう一度
眠りたいくらい
安心する


このまま
甘えられたら
どんなにいいだろう


寂しくてたまらない
心の隙間を
埋めてもらえたら

どんなに
幸せだろう…


そう思いながらも

まだ向井さんを思っている
自分がいる


それに

コータは
かなり年下


俺は
そんなコータに
甘えきれないでいた


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