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心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第1章 出会い
「あ…ごめん。
寝ちゃってたな…」
少しわざとらしい演技で
目を覚ました振りをして
俺は
コータの膝から
何も無かったように
身体を起こした
「もう、起きたんですか?
朝まででも
こうしてたかったのに」
「優しいな…コータは」
そう言うと
コータは
目を閉じて唇を噛み
少し嬉しそうに微笑んだ
「どうした?
俺、変なこと言ったか?」
「いえ
コータって言われるのが
たまんないです」
「なんだよそれ(笑)」
「すみません(笑)
これから…どうしますか?」
「うん…」
帰りたくはない
単純に
そう思っていた
コータは優しくて
悪いやつじゃない
向井さんが信頼してる
オネェの紹介だし
一緒にいるのは
心地いい
でも…
コータを
好きなのかと言われると
そうではない
そう
今の俺の感情は
俺の部屋に
入ろうとした時の
向井さんの感情と同じだ
ただ
寂しいだけ
ただ
一人になりたくないだけ
「いいんです、俺は」
「え?」
「寂しいからって理由だけでも」
「……いや
よくねぇよ…」
「どうしてですか?」
「お前が
今の俺と
同じ気持ちになるかもしれないから…」