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心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第1章 出会い
向井さん

その話題で
少し和んでいた
俺たちの空気は
一変した


コータは
事情を知ってるに違いない


そして俺は
少しだけ
忘れられていた司さんのことを
また思い出していた


「翔輝さん」


「ん?」


「寝てないですよね」


「あ〜…(苦笑)
眠れなくてな」


昨日は
泣いてばかりで
眠れなくて
それでも今日は仕事で…


「寝ていいですよ」


「え?」


「ここなら眠れるから
連れて来たんです。

店長にお願いしておいたんで
朝までこのソファで
寝てても大丈夫です。

俺、いつまででも
付き合います。

起きるまで
待ってます。

あ、何もしません
いや、してもいいなら
しますけど

あ、変な意味じゃなくて

嫌じゃなければ


膝、貸します。

肩でも…なんでも」


そんなことを言うコータは
妙に男っぽい

男っぽいけど
優しくて …


「そんなこと言う…っ…
あ、え…っ…なんで…」


冗談言うなよ

そう言うつもりだったんだ


なのに
突然俺の目から
涙が溢れてだして
止まらなくなっていた

こんな風に
司さんと2人で
酒を飲んだことを思い出して


また

司さんに会いたくて…

コータに
優しくされて…


「ごめ…っ…俺…」


「大丈夫です。
ここは誰からも見えないから」


そう言われると
もう止めどなく涙が流れ出して
どうにもならない

そんな姿をコータに
見られたくなくて
俺は顔を両手で覆って
泣き続けた




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